The Courier-Mail
2010/6/20
Samurai of the drum
by Suzanna Clarke
その志願者は、疲れ果てて、緊張するどころではなかった。日本の片田舎、酸素の薄い山の中で7kmのランニングした後、次のメニューは腕立てと腹筋を50回ずつ。リードするのは、彼が入団を志願しているグループ「TAO」のメンバー。厳しい筋力テストに、明らかに苦しそうな表情を浮かべる志願者をよそに、鍛え上げられたそのメンバーは、汗一つかいていない。最終的には、メンバーの腹筋についていけず、志願者は苦しそうに床に倒れてしまった。その後、TAOの創設者であり、ディレクターを務める藤高郁夫氏から「最近の若者はあまやかされている」という話を聞いた。とはいうものの、鍛え上げられたTAOのメンバーには全くあてはまらない言葉である。彼らは、1年のうち約半分は海外ツアーで、200回近くにおよぶ公演を行う。本日、オーストラリアツアー初日を迎える彼ら、ブリスベンでは7月24日にQPACでの公演が予定されている。体力のなさ、リズム感のなさを指摘されたにもかかわらず、その志願者は入団テストに合格した。研修生としてTAOでの生活を始めることに、彼は言葉にならない喜びをかみしめていた。例年100人以上の応募の中から、入団テストに合格するのは5,6人、そこで残ることができるのは1人か2人だという。
「レギュラーになる、つまりは1人前に舞台に立てるために、1年間の厳しいトレーニングを行ないます」と語るのは藤高氏。「成功するためにどれだけ熱い情熱を持っているかが一番大切です。そのために犠牲にしなければいけないことがたくさんあるのも現実。家族や友達と連絡がとれないことにも耐えられなければいけません。」
ツアー以外では、22人のTAOのメンバーはグランディオーゾで生活をともにする。2000年に建築された二階建ての建物は、もともとはホテルとして使用されていた。九州の主要都市、福岡から約2時間半、阿蘇くじゅう国立公園の中に約4万平米の土地を誇るグランディオーゾ。360 度の大絶景に囲まれている。グランディオーゾには最近、約3000人集客可能の野外劇場が新たに建築された。
毎朝メンバーは6時から約7km、ときにはそれ以上のランニングをした後、筋力強化のトレーニングを行う。その後は素振り、口唱歌といった練習メニューが続く。朝食前に少なくとも3時間程のトレーニングを行う。朝食は、魚、サラダ、スープ、ご飯といったとても健康的なものである。
厳しい修行僧、はたまたエリート軍隊の訓練トレーニングのような、激しいトレーニングの成果は、舞台上ではっきりと現れる。私がグランディオーゾに着いた夜、TAOのメンバーは自分たちが出演する日本では有名な音楽番組を見るためにテレビの前に集まっていた。
TAOの一つ前の出演者は、子ども向けのポップ歌手で、おそらく桜について歌っていたと思う。しかし、13人のTAOのメンバーがステージに立ち、直径1.7m、重さ400kgにもおよぶ巨大な太鼓をすさまじい勢いで叩き始めた瞬間、オーディエンスは突然興奮の渦に巻き込まれた。
その後は、フルートや琴の繊細な音色と共に、小さめの太鼓が複雑なリズム奏でられる。 太鼓の技術はもちろん、赤と黒のひらひらの衣装をまとい、ぴったりと息のあった振り付けでステージ場を駆け回る姿も素晴らしい。
武術と音楽、そして美しい肉体、力強さ、1秒足りともずれることのない振り付け、人間業ではなし得ないようなことばかりである。
彼らがオーストラリアで行う「the samurai of the Drum」という新作は、以前の作品は全く異なるものである。時代背景は江戸時代,メインキャストの1人は西亜里沙、31歳。彼女は5人いる女性メンバーのうちの1人で、TA0でのキャリアは13年。
もともと外資系スーパーの営業を行っていた藤高氏によってTAOは1993年に設立された。「僕の上司が太鼓をしていて、ある太鼓チームに所属していました。彼から、そのチームのプロモーションをしてほしいと頼まれたのです。」と藤高は言う。
プロモーションはそう簡単にうまくはいかなかった。しかし、太鼓を続けたいと強く希望するメンバーのために、藤高は日本中を旅し、さまざまな太鼓を見て回った。
「どれも、古くさくて、音が大きいだけで、つまらないものばかりでした」と彼は言う。そこで藤高はラスベガスに行き、そこで見たのがシルクドソレイユのミスティアだった。
「シルクのショーの中で、和太鼓が使われていたのです。彼らが表現しようとしているものは本当に美しかった。そこからたくさんのイメージが湧いてきました。」
藤高はまた、言葉を必要としない舞台に、世界に通用する可能性も見いだす。「リズムというのは話ができるようになる前から生まれつき体に染み付いているものです」 試行錯誤を繰り返しながら、藤高は独自のトレーニング方法を作り上げていった。あまりにも激しいだけのトレーニングを行い、全てのメンバーを失いそうになったこともあると言う。
「今はどのようなことが必要かがわかるし、どのようなことをしなければいけないかとアドバイスをくれる専門家もたくさんいます。周りで支えてくれる方たちは、血のつながりはないとはいえ、新しい家族のようなものですね。TAOはただ音楽をやっているだけのグループではありません。僕たちの生き方そのものが舞台に及ぼす影響はとても大きいのです。言葉をかわさなくとも、相手が何を考えているかわかるくらい深い絆で繋がっている家族のようなものですから。」
過去17年間で、TAOは全世界で300万以上の観客動員数を誇る。「もちろん僕らは常に新しい何かを求め、その時代の流行に合うものへと進化し続けていますが、それと同時に日本の伝統文化への尊敬、そして祖先から受け継いできた和の精神を新しい世代へと伝えていくことを忘れないようにしています。」
Northside Chronicle
2010/7/6
Japanese cultural drums come to life
和太鼓が蘇る
by Louise Nunn
大反響を呼んでいる日本の和太鼓グループTAOの公演が来週キャンベラシアターで行われる。TAOは13人のメンバーで構成され、日本の和太鼓を使ったショーを行っている集団だ。メンバーの1人、原崎太郎は、母国の伝統文化である和太鼓を世界に広めることができるところに魅力を感じたという。原崎は以前モントリオールに住んでいたことがあり、帰国する為に仕事を探していた。「日本の文化を世界に広める仕事がしたいと思っていた」と彼は言う。「テレビCMでTAOを見たときに、日本の伝統楽器を使った舞台ということを知り、興味を持ちました。」以前はアマチュアバンドでドラムをたたいていた原崎は、TAOのオーディションの時に初めて和太鼓をたたいたそうだ。「和太鼓はそう簡単なものではありません。今でも、難しいですね」と原崎は言う。「もちろん、バチを握って太鼓をたたけば、誰にでも簡単に音は出せます。でも太鼓にはメロディーがないから、自分の感情を太鼓を通してどれだけ表現できるかというところが難しいのです。フルートや、ギターのようにメロディーがある楽器なら、感情を表現することはもっと簡単でしょうけどね」
TAOの舞台は、一糸乱れぬ動き、激しさ、こだわり、どれをとってもエンターテイメントショー以外の何ものでもないという。
「僕たちがやっているのは、伝統的な和太鼓とは全く異なるものです」と彼は言う。「僕らはエンターテイメントショーをやっています。お客さんに楽しんでいただけることが何よりもうれしいです」ショーの中では、和太鼓の他にも、篠笛などの和楽器も使われるそうだ。13人のメンバーは踊りながら、体全体で自分たちの音楽を表現する。2004年からTAOに所属している原崎は、世界中での公演活動を楽しんでいるという。「僕らのショーを見て、元気になってくれる人が沢山いるのです。人に喜んでもらえる仕事ができるとこはすごく幸せです。」
The Canberra Times
2010/6/19
Wadaiko back with a bang
感動の興奮をもう一度!
by Philip O’brien
TAOの舞台は理屈抜きで心の底から楽しむことができ、言葉にならない感動を覚える。和太鼓の覚醒的な力や、一糸乱れぬ太鼓のビート、TAOの公演を見終わった後、その興奮はいつまでたっても消えることはない。
2006年、2008年に引き続き、日本で最も注目を集めるアーティストTAOが、新作をひっさげて、3度目のオーストラリアツアーを行う。キャンベラでは7月13日に新作「Samurai of the Drum」の公演がキャンベラシアターにて行われる。この春、アメリカ全土ツアー全公演ソールドアウトを成し遂げたTAO。太鼓はもちろん、日本の伝統文化に加え、ダンス、ミュージカルなど、彼らの舞台には様々な要素がちりばめられている。
原崎太郎は2004年にTAOに入団したメンバーの1人。「今回の舞台は過去2回の舞台とは全く異なる」という。
「メンバーは前回よりも多い13人、また今回初めて、照明や音響機材も含め、日本で使っているものと同じ舞台装置を使用しています」着物を現代風にアレンジした衣装のメインカラーは赤と黒。太鼓の轟、軽やかなダンス、ドラマチックな照明に華を添えるのは、繊細な篠笛と琴の音色。
「和太鼓の文化は日本では1000年以上前から伝わるもの」と原崎は言う。その昔、太鼓は侍の士気を高めるために戦場で演奏されたそうだ。「雨乞いや、豊作祈願のためにも太鼓が演奏されていました。それぞれの地域によって、太鼓の演奏の仕方は様々です。」
「Taikoz」というシドニーの太鼓チームの活躍により、オーストラリアでも和太鼓の認識はだんだん高くなってきている。
TAOは2004年にエジンバラフェスティバル、にて初の海外公演を行った。
リーダーの水藤義徳は、「エジンバラがターニングポイントだった」と語る。
「海外のお客さんが、僕たちの舞台にどのような反応をしてくれるかは全く検討がつきませんでした。でも、喜んでくれているお客さんを見たときに、すごくうれしかったし、自分たちのしていることに間違いはないと自信がつきました。」
その後TAOはヨーロッパ、アメリカ、イスラエル、台湾、オーストラリア、ニュージーランドと海外での活動を急成長させる。どの国のお客さんもTAOの舞台を見た人は皆、言葉にはならない興奮をおぼえるという。
大太鼓は、直径1.7m、重さは400kgにもおよぶ。その他にも、肩から下げることができる太鼓や、デコレーションされた小さめの太鼓もある。どの太鼓を打つのにもバチが使われメンバーの渾身の一打が振りかざされる。
もともと太鼓は1000年以上前に、中国から日本へ渡ってきた。おもしろいことに、TAOは中国語で「道」と表わされる。「日本語でも同じ意味の漢字を使うのです」と語るのは水藤。「その漢字は、多くの意味を持っています。また、いろんな文化が繋がっている証拠でもありますね。」 TAOは、日本列島の南、九州北西部に本拠地および、練習施設「グランディオーゾ」を構える。阿蘇くじゅう国立公園内にあり、久住山のふもとに位置するTAOの里には、3000人収容の野外劇場がある。水藤は「太鼓チームは日本にはたくさんありますが、やはり人口の多い都市部ではなかなか練習するのが難しいのが現実です。しかし、私たちの里では、時間を気にせず太鼓がたたけるし、何よりもとても美しい景色が自慢です」と語る。
TAOのメンバーは共同生活をし、過酷なトレーニングを行う。水藤は「和太鼓を演奏するためには、高いレベルの身体能力が必要です。体全体を使って演奏をするため、ランニングや、筋力トレーニングは欠かせません。1日10時間トレーニングというスケジュールもまれではありません」と言う。それに加え、TAOはグランディオーゾでのコンサートも含めると年間200公演というスケジュールをこなす。つまり、休日は1年のうち、10~15日ということになる。原崎は「ツアーでまわっている以外は常に練習やトレーニング、新作の制作をしています」と言う。和太鼓と、侍文化に共通するものとは何であろうか。侍は、強さ、忍耐力、そして献身の象徴とも言われる。原崎は「TAOは和の精神を舞台上で表現しようとしています。常に、舞台に集中し、日々向上することを目指しているのです。」と語る。
The Melbourne Times
2010/6/30
Rhythm of life
生命のリズム
伝統的な日本の和太鼓を、モダンなエンターテイメントショーへと昇華させたTAOは、1993年、藤高郁夫氏によって創立された。彼らの新作”The Samurai of the Drum”では、藤高氏の構想を元に作曲された新曲がちりばめられている。「まずはプロデューサーから曲のイメージが伝えられます」と説明するのは原崎太郎。「TAOの楽曲は、プロデューサーのイメージのもと、メンバーによって作曲、振付されたもので、すべてオリジナルの楽曲です。」
様々な種類の和太鼓を中心としたTAOの舞台。一番大きなものは、直径1.7m、重さ400kgにもおよぶ。日本の伝統文化をモチーフにした斬新な振り付け、ステージセット、そして衣装も見所である。「舞台はとても華やかです」と原崎は語る。「僕たちは、日本の伝統文化を、様々なリズムや動き、そして衣装などで、新しい形で表現しようとしています。」
TAOは、阿蘇・くじゅう国立公園に本拠地”グランディオーゾ”を構える。俗世から離れ、大自然の中でひたすら稽古や舞台制作に打ち込める特別な場所である。「グランディオーゾには、大自然以外何もありません」と原崎は言う。「コンビニもないし、ガソリンスタンドもありません。でもそこでは美しい朝日と夕日を見ることができます。僕たちが舞台で演奏する楽曲は、グランディオーゾの大自然の音を表現しています。またツアー中のさまざまな経験から生まれてきた曲もたくさんあります」
ニュージーランドでは、マオリ族のハカのリズムに影響を受け、新たなフレーズを作曲したメンバーがいる。TAOはアボリジニの文化にも興味があるという。「いつか、オーストラリアの伝統的なリズムや、ディジリドューなども舞台に取り入れたいですね」
2年前とは比べ物にならない程の豪華なステージをお見逃しなく
mX
「ドラムスティックの力」まるで黒沢明の映画のようなワンシーン。彼らは世界で最も注目を集める日本のアーティスト集団TAO。
彼らの舞台で刀が使われるわけではないけれども、彼らの演奏には、間違いなく侍スピリットが宿っている!
The Advertiser
2010/7/2
Japanese drums like “ mother’s heart beat”
母の心臓の鼓動のような和太鼓
by Louise Nunn
大太鼓は、驚くべき大きな音を鳴らす。しかし、母親の腕の中に抱かれた赤ちゃんは、TAOの舞台を見ながらすやすや眠るそうだ。日本で絶大な人気を誇る和太鼓グループTAOの公演が2日間に渡りHer Majesty’s Theatreで行われる。メンバーの原崎太郎は「よくお客さんが耳栓を持ってきたり、海外のクルーが耳栓をしているのを見るけど、全く必要ありません」と言う。
「和太鼓の音は、母親の心臓の鼓動に似ていると言われます。僕たちの演奏中に、お母さんの腕の中で眠っている子どもを見たこともありますよ」
「初めて太鼓の音を聞く人は、うるさいと思うかもしれませんが、だんだんそれが心地よくなってくるのです」
その秘密は、和太鼓は、木と牛の皮でできているところにある。
「僕たちのステージには電子音は全くありません。もちろん太鼓の音は大きいけど、自然の音だから耳にも全く悪い影響は与えないのです。」
今年始めに行われ、大盛況の内に幕を閉じたアメリカツアー中に制作された新作は、日本を除くと、オーストラリアでは世界初公開となる。
The West Australian
2010.5.26(水)
The Land of the Rousing drum
感動的な舞台が生まれる場所
by David Cusworth
日本の太鼓グループTAOの本拠地であり、美しく鍛えられ、驚く程に魅力的な若者のアーティスト達がトレーニングを行う場所、グランディオーゾでの生活は目を見張るものがある。アメリカでの44都市公演を終えたばかりのTAOは、日本の音楽番組【THE・ミュージックアワー】に出演。放送終了後、TAOのホームページのサーバーがパンクした。番組の視聴者からのアクセスが殺到したのだ。日本南部、九州の高原地帯で共同生活を送る太鼓打ちの彼らには、思いがけない大ニュースだった。少し安っぽくも見える若者向けの番組でJポップの大御所たちを震撼させたのは、エネルギー溢れる演奏、音楽そしてダンスを融合した斬新的なTAOの演奏だった。
1993年にTAO創設し、ディレクターを務める藤高郁夫氏にとっては、和太鼓グループのミュージッアワーへの出演は画期的なことだった。「この番組は、3千万人の視聴者がいる大人気番組で、15年以上も続いています。この春、番組内容を変更し、今勢いのある人気アーティストをゲストに迎えるようになったのです。」と彼は語る。「やはり日本では、太鼓は伝統的な古い文化だという考えが未だに拭いきれません。しかし私たちはそういったものとは全く異なる新しいエンターテイメントショーを行っているのです。」九州一の大都市、福岡での企業イベントに向けてリハーサルを行う彼らを見ていると、胸の奥底に情熱を持ち、自信に満ち溢れたどこにでもいそうな最近の若いアーティストのようにも見えた。しかし、ディレクターの指示に真剣に耳を傾け、一言たりとも聞き漏らさないようにしながら、彼のアドバイスに対してうなずいている姿を見たとき、他とは違う何かを感じた。
かけ声が飛び交い、様々な動きの中、太鼓が高鳴り、篠笛の音色が響き渡ると、ステージは一気に活気に包まれる。そして突然の静寂。ディレクターがアドバイスを告げ、その後は日本のハープ、琴の演奏。伝統的な楽器である和太鼓の重々しい音に乗せて、メンバーのかけ声が会場中に響く。そして音楽のペースは徐々に上がり、薄暗いステージ場でフラッシュライトに照られるのは、格闘技のような棒術。
「私たちは伝統的な日本の文化を尊重すると同時に、常に太鼓の文化への尊敬の念を忘れないようにしている。」と藤高は語る。
「もちろん伝統的な部分は大切にしているが、それ以上に、何か新しいものを常に取り入れることに力を入れている。スピード、鮮やかさ、私たちのステージから発信される全ての要素が、今世界が求めているものなのだ。」
アーティストと研修生が、厳しいルールと太鼓への熱い情熱を持って日々の生活を共に過ごすグランディオーゾ。皆が、一つの目的に向かって音楽に浸る生活を送る場所。
グランディオーゾの朝、若手メンバーは、スタミナをつけるためランニング、そして筋力トレーニングが日課である。乾いた空気、薄い酸素、肌寒い山の天気をものともせずに、息を乱すことなく安定したリズムでトレーニングは続けられる。
一方、TAO専用の練習場では、メインメンバーが、太鼓を叩く前に行う、口唱歌、すぶりの真っ最中。木と皮ででき、一番大きなものは400kg程もする太鼓は、劇場の全ての観客をうならせる。いざ太鼓を叩く練習が始まる時間になると、彼らは体中の筋肉を震わせる。ここ、グランディオーゾは太鼓打ちにとっては最高の環境が整っている。
藤高は「TAOは太鼓・アクション・オーケストラ」の略だとジョークを飛ばす。中国語で「道」という字で表記されるTAO。そのジョークには深い意味が込められているのではないだろうか。
「TAOは「道」という字を用る。太鼓の道を極めるという意味がこめられている。その道のエキスパートになるために、メンバーには伝統的な文化や習慣を大事にしてほしいと思う一方、文化や習慣はその形を常に変化させながら形成されていることも忘れてほしくない。常にアーティストは自由に発想し、クリエィティブでなければならない。そしてそのクリエィティブな発想が新しい分かを生み出し形成していくのだ」
3度目となる今回のオーストラリアツアーでテーマとなるのは芸術と献身のシンボルである侍スピリッツ。前回とは全くことなる新しい衣装、舞台セット、そして音楽が、西欧の文化が日本に入ってくる前の時代を思い起こさせてくれる。
「我々は日本人にしかできない舞台を目指している。祖先から新しい世代へと受け継がれた日本人のスピリットを持つ日本人にしかできない舞台だ」と藤高は語る。「どんなに若い子であろうと、かならず昔から受け継がれてきた日本人としての血が流れている、そしてそのスピリットを持つ日本人にしか表現できない文化や、間があるのだ。メンバー同士の意思疎通、あるいは舞台上での動きの間一つ一つである。
物欲に満ち溢れた現代の日本の若者のイメージからはかけ離れているように見えるTAOのメンバー。毎年100人以上の応募者の中から選ばれるのは数人程度というのも不思議ではない。
4月のある日、新入団員のオーディションが行われた。やる気に満ち溢れる、しかし緊張した面持ちの彼。ランニング、体力測定、そしてリズム力テストによって審査されるオーディション。その後、メインメンバーによる面接、そして最後に目の前で行われる合否決定の話し合い。立ったまま合否結果を待つ彼は気が気でなかったに違いない。
「今日の受験者は、新入団員に期待する太鼓の技術は全くありませんでした」と話すのは滝良平。「技術もないし、体力もかなり低い。でも、彼の表情や仕草から情熱が感じられた。だから合格にしたのです」
「もし上手になりたいという情熱とやる気があれば、その願いは叶う。大事なのは技術ではない。気持ちです。」
合格した研修生には1年のトレーニング期間が与えられる。
「僕らは教えることはしません」と語るのは岸野央明。「先輩たちを見てその技術を盗もうと努力しなければいけないのです。そのために何をしなければいけないかを質問し、もちろん太鼓の技術だけではなく、人間として成長する為に必要なことも含め、先輩の話を聞くことが大事です。そのためには情熱がないと続きません。誰から見てもかっこいいと思われるようになることが大事ですね」
TAOは2チームがそれぞれ国内外で公演を行う。また、レストランビジネスを始めたり、TAOの名前の健康食品もある。しかし、藤高の野望はそれだけではない。 「この場所を日本のエンターテイメント界のハブにしたい。ブロードウェイやラスベガスで公演を行いたい。すでに世界各地での公演活動をしているが、ロングランが行える劇場を持ってはいない。ロングラン公演を行うTAO専用劇場を世界中に作りたい」
その野望を叶えていくのは、藤高の右腕である水藤義徳と西亜里沙、そして作曲チームの中核をなす滝と岸野の力だろう。
その整った美しい容姿で、TAOのポスターイメージを務める西は、「大切なのは変わること」と語る。
「初めてTAOの舞台を見たとき、その衝撃に心を打たれ、私の人生は変わりました。何かこの人達といっしょに何かをしたいと思ったのです。最初の年は精神的にも体力的にもついていくのに必死でした。でもここでのトレーニングのおかげで強くなることができました。そしてエンターテイメントとは何かということを学び、またさらに成長したいと思わせてくれるところです。」
「TAOの舞台はただ力強いだけではなく、女性にしか出せない艶やかさも大切にしています。もちろん、体力が続くうちはできるだけ長く舞台に立ち、そういった部分を表現していきたいと思っています。しかし、いつかステージを下りなければいけないときがくれば、作曲者としてずっとTAOとしてやっていきたいです。」
「体はまだだいじょうぶですか?」
「いけます!」
The West Australian ウェブサイト
http://au.news.yahoo.com/thewest/
The West Australian
2010.6.24(木)
話題騒然のショー
TAOの素晴らしい舞台を見ながら、オーストラリアの伝統文化が、TAOの舞台のように魅力的なショービジネスと融合したらどのようになるだろうかとふと思った。伝統的な和太鼓を、時代の流れにそったエンターテイメントショーへと昇華させたTAOの舞台は、世界で爆発的な人気を誇っている。
2年ぶりとなる今回の舞台は、前回とは比べ物にならないほど、ビジュアル的に素晴らしい。ストロボを駆使した照明、振り付け、日本人特有の美しい所作、そしてステージを埋め尽くす程の大きな太鼓の数々。はかまをモチーフにしたしなやかな衣装と、スポットライトに照らされる鍛え抜かれた上半身。
彼らは、野性的なヘアスタイルで、ステージ上で太鼓の音よりも大きなかけ声をかけあいながら、エネルギー溢れる演奏をする。前半は、より見て楽しめる要素が大きい。50kg 程もありそうな大きな太鼓を、いとも簡単に持ち上げ、奏でられる複雑なリズム。コミカルなリズムで、太鼓の音がまるでピンポンボールのようにあちこちに飛んでいく音遊び。
歴史を遡ると、和太鼓は、雨乞いや、豊作の祈願のために叩かれていた。修行僧のようなトレーニングを積んでいるTAOも、どこかその伝統を受け継いでいるのかもしれない。彼らはツアーの前後には、人里離れた山奥で、日々トレーニングを行っている。
熟練した技術とメンバーの舞台にかける情熱は、第二部でより色濃くなる。3つの大太鼓以外にも、見所は篠笛、三味線、琴などの和楽器の融合である。
繊細さ、ユーモア、そしてダイナミックな要素をふんだんに織り混ぜ、日本の伝統文化と、現代のエンターテイメントを見事に融合させたTAOの舞台。
言葉では説明できないほどの感動が、彼らの舞台には詰まっている。きっとこの舞台から学ぶことは数しれないはずである。
The West Australian ウェブサイト
http://au.news.yahoo.com/thewest/entertainment/a/-/arts/7456684/concert-review-drum-tao/
The West Australian
2010.6.22(火)
水藤義徳・原崎太郎インタビュー
インタビューの動画はこちら
日本語訳:
太郎:伝統的な音楽とは違い、現代的なリズムや振りで新しいショーを作っています。
グランディオーゾでは、朝6時から筋トレ、ランニング、ストレッチ、2時間程の打ち込みなどを行い、美しい筋肉を保つためにも厳しいトレーニングをしています。
僕たちのショーに言葉や文化の壁はありません。 オーストラリアのお客さんのリアクションはとてもダイレクト。
そして、僕たちを歓迎してくれているような温かい感じがしますね。
水藤:僕の使命は、僕たちのショーを見てくれるお客さんを元気にすること。
太鼓はその想いを叶えてくれる楽器なのです。
The West Australian
2010.6.22(火)
昨日、日本の太鼓グループTAOのパフォーマンスがベルタワーで行われた。
こんなにかっこいいストリートパフォーマーは、なかなか見れるものではない。
上半身裸の男たちが、激しく太鼓を打ち鳴らし、オーストラリアツアーのスタートを飾る。
厳しいトレーニングを積み重ねられた彼らが繰り出す、ダンス、音楽、目を見張るほどの激しいアクション。
パースコンサートホールでの5夜連続公演を見逃すな!